院長挨拶

院長挨拶

院長 佐藤 敦夫

南京都病院は、全国140施設からなる国立病院機構(National Hospital Organization)の一施設です。城陽市の丘陵地に位置しており、病棟の5階から西に目をやれば、木津川の流れの向こうに甘南備山が見え、南に目を転じると、天気の良い日には生駒山を望むことが出来ます。病院は緑豊かな自然に囲まれており、春には梅、桜、躑躅、藤と途切れることなく花を楽しむことが出来ます。
陸軍演習地に、傷痍軍人療養所としてスタートしたのが当院の始まりと聞いておりますが、その病院が時代の要請により国立の結核療養所となり、国立病院機構病院の障害者病床群の病院へと変遷してまいりました。現在は実質、重症心身障害者病棟120床、障害者病床120床、結核病床20床、一般急性期病棟40床、平均すると約360名の小児科 脳神経内科 呼吸器内科の患者さんが日々入院されています。
当院の特徴は重心病棟や障害者病棟を中心に、治らない病気や、障害を抱えた人とじっくりとお付き合いしていることです。小児科では出生時の重い障害を抱えながら当院を療養の場としている患者さんを診療しています。脳神経内科で診察している神経難病の患者さんの多くは、治療方法が乏しく、徐々に病状は進行してゆきます。呼吸器内科で診療しているCOPDや間質性肺炎の患者さんも同様で、徐々に病状は進行してゆきます。
現在の医療の流れは、高度医療に対応した総合病院で集中的に病気を治療することに重きが置かれており、より短期間で治療を終了することで収益があがる制度になっています。そのため、急性期総合病院ではクリニカルパスに沿って効率よく治療が行われ、治療によっても改善が見込めない状態になれば退院となります。
治療によって改善が見込めなくなっても、決して病気や障害がなくなってしまうわけでありません。むしろ病気を抱えながら日常生活を送るためには、医療や介護を含めた様々な手助けが必要となります。当院では障害者病棟を利用してある程度余裕を持った入院期間を設定可能です。そのおかげで、慢性疾患を抱えた患者さんとじっくりとお付き合いしながら、将来を見据えた治療、リハビリテーション、生活支援を行なっています。また、在宅で療養されている患者さんのショートステイにも対応しています。院内には多職種からなる呼吸ケアチームや栄養サポートチーム、摂食・嚥下チーム、緩和ケアチームなどが活動しており多職種で患者さんを支えています。それに加え、脳神経内科、呼吸器内科、小児科には地域の急性期病院と遜色のない数の専門医が勤務しており、それぞれの領域では急性期の疾患に対しても質の高い医療を提供しております。そのためか、それぞれの診療科には、診断から急性期、慢性期と長期に渡って当院に通院を継続されている患者さんがたくさんおられます。
当院のもう一つの特徴は京都府南部では唯一の結核病床を有した病院であることです。京都市や、京都府南部の結核患者さんを受けいれており、専門施設として行政と連携し医療関係者への啓蒙や相談にあたっております。近年は結核以外に、非結核性抗酸菌症で受診される患者さんも増え、最先端の診断・治療を行なっております。
バイオテクノロジーを用いた医療の進歩は目を見張るものがあります。COVID19ワクチンの開発から投与までのスピードには驚かれた方も多いと思います。その様な先進的な医療以外にも、日常臨床には結論の無い様々な疑問が存在します。例えば、「沢山の酸素を吸入しながらリハビリテーションを行うのと、ある程度の低酸素状態でリハビリテーションを行うのとどちらが効果的だろうか?」「肺非結核性抗酸菌症の患者さんは痩せると予後が悪くなるが、どんな食事をしてもらったら良いのだろうか?」それぞれは小さな疑問ですが、このような疑問を一つずつ解決することで、臨床医学は進歩していきます。また、新たな薬が開発された場合には、実際に患者さんにお願いし、薬剤の効果や副作用を調べるための治療研究が必要となります。当院には臨床研究部があり、関連領域の薬剤の治療研究や、日常臨床における研究を支援しているのももう一つの特徴です。
風通しが良く、職員にも思いやりのある病院組織であることが、患者さんへのホスピタリティーにつながっているのが当院の伝統です。伝統を守りながら、病院の理念であります「分かりやすく安全で安心して受けられる質の高い医療」を実践してまいります。また、病々連携、病診連携を深める事で、地域の中で当院の特徴のある医療をさらに多くの方にご利用いただけるように努力してまいる所存です。

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