呼吸リハビリテーション-3
●はじめに
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療において、ステロイドやβ2刺激剤の吸入療法は、簡便かつ携帯可能であることから、広く普及しています。
しかし吸入操作が不適切であると、薬剤の肺への沈着量が少なく、十分な治療効果が期待できないどころか、副作用が増大することがあります。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療においては、患者さんが正しい吸入操作を身につけることが重要です。薬剤部では、呼吸器内科医師の指導のもと、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の方を対象に吸入薬、吸入補助器等を使用した吸入指導を行っています。
●吸入指導
吸入指導の目標は、患者さんが慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に必要な知識、吸入操作を習得することで、治療薬の効果を十分に引出し、QOL(Quality of life;生活の質)の高い生活を送れるようにすることです。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)で吸入療法を新規で導入される予定の患者さん、または吸入療法を施行されているにもかかわらず症状の改善がみられない患者さんで、医師から薬剤部に指導依頼を受けた方を対象としています。
●指導内容
患者さんの現在の吸入操作を見せていただき、それに対する患者さんの問題点を発見し、吸入方法の説明書等を使用し、問題点を改善していきます。
▼よくある問題点
- 吸入する前に息を吐き出さないため、十分吸えず、息が続かないので息止めもできず、すぐ吐き出してしまう。
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは何か、何のために薬で治療しているのか分からない。
- 吸入器具の正しい操作をしていない。
- 吸入療法の効果が実感できず、治療を中断してしまう。
▼吸入操作の指導方法
患者さんの中には吸気速度が十分でなく、吸入したはずなのに薬が器具内に多く残っている場合もあります。患者さんの吸気速度や、操作方法を確認する、必要に応じて、補助器具を提供するなど、患者さんに合った吸入操作を指導しています。