呼吸器センター【内科】

呼吸器センター【内科】

診療科の特徴

当院は呼吸器疾患の専門医療施設です。
呼吸器内科は11名のスタッフで構成されており、
・内科専門医を8名
・呼吸器指導医を5名
・呼吸器専門医を10名
が取得しています。

呼吸器科では、一日平均で一般呼吸器疾患68.5名(R5年度実績)、肺結核12.5名(R5年度実績)の患者さんの入院治療を行っています。

診療の主たる対象疾患は、一般の市中肺炎や他院で治療困難であった難治性肺炎等の急性呼吸器感染症、肺結核症および肺MAC症を中心とする肺非結核性抗酸菌症などの慢性呼吸器感染症、COPDや肺結核後遺症などの慢性呼吸不全(在宅酸素療法、在宅人工呼吸療法、ハイフローセラピー、呼吸リハビリテーション、急性増悪時の呼吸管理を含む)、肺癌(診断、手術前評価、化学療法、準終末期~終末期医療)、膠原病肺や特発性間質性肺炎などのびまん性肺疾患、難治性を含む気管支喘息、閉塞型や中枢型の睡眠時無呼吸症候群です。

診療内容

スタッフ紹介

院長 佐藤 敦夫Atsuo Sato

  • ・出身大学
    京都大学
  • ・専門分野
    呼吸器内科
  • ・認定・専門医等
    日本内科学会 認定内科医
    日本呼吸器学会 呼吸器専門医

・メッセージ
患者さんと一緒に病気の治療を考えてゆきたいと思っています。
地域のお役に立てる様な呼吸器科医を目指しています。

診療部長 角 謙介Kensuke Sumi

  • ・出身大学
    京都大学
  • ・専門分野
    呼吸器内科(睡眠時無呼吸症候群、呼吸不全、呼吸管理など)
  • ・認定・専門医等
    日本内科学会 総合内科専門医
    日本内科学会 認定内科医
    日本呼吸器学会 呼吸器学会指導医
    日本呼吸器学会 呼吸器専門医

・メッセージ
平成18年4月よりこの病院に勤務しています。
自然に囲まれた小ぢんまりした病院ですが、スタッフの連帯は強く、患者さんとの距離も近いとても良い病院と自負しています。
ここに勤めることができて良かったと心から思っています。

呼吸器内科 医長 / 内科 医長 小栗 晋Susumu Oguri

  • ・出身大学
    京都大学
  • ・専門分野
    呼吸器内科
  • ・認定・専門医等
    日本内科学会 総合内科専門医
    日本内科学会 認定内科医
    日本呼吸器学会 呼吸器学会指導医
    日本呼吸器学会 呼吸器専門医

・メッセージ
青谷に赴任し27年目になりました。
京都府南部の緑豊かな環境で過ごせ感謝しております。

呼吸器内科 医長 水口 正義Masayoshi Minakuchi

  • ・出身大学
    奈良県立医科大学
  • ・専門分野
    呼吸器内科(気管支喘息など)
  • ・認定・専門医等
    日本内科学会 総合内科専門医
    日本呼吸器学会 呼吸器指導医
    日本呼吸器学会 呼吸器専門医
    日本アレルギー学会 アレルギー専門医(内科)

・メッセージ
気管支喘息を専門としていますが、肺がん、間質性肺炎などすべての呼吸器疾患に対応します。

内科医長 橘 洋正Hiromasa Tachibana

  • ・出身大学
    京都大学
  • ・専門分野
    呼吸器内科(結核、非結核性抗酸菌症、呼吸器一般など)
  • ・認定・専門医等
    日本内科学会 認定内科医
    日本内科学会 総合内科専門医
    日本呼吸器学会 呼吸器専門医
    日本呼吸器学会 呼吸器指導医
    日本結核・非結核性抗酸菌症学会 結核・抗酸菌症認定医

・メッセージ
山に囲まれ空気がよく広々としており呼吸器の病気の治療にはとても良い環境です。特にリハビリ環境は非常に充実していると実感します。
小さな病院ですが呼吸器専門医が多数在籍しており多くの目で検討することが可能です。患者さんと対話しながら、当院の長所を活かして地域医療に貢献したいと思います。

呼吸器内科 医師 田畑 寿子Hisako Tabata

  • ・出身大学
    福井医科大学
  • ・専門分野
    呼吸器内科
  • ・認定・専門医等
    日本内科学会 総合内科専門医
    日本内科学会 認定内科医
    日本呼吸器学会 呼吸器専門医
    日本結核・非結核性抗酸菌症学会 結核・非結核性抗酸菌症指導医
    日本結核・非結核性抗酸菌症学会 結核・非結核性抗酸菌症認定医
    日本がん治療認定医機構 がん治療認定医

・メッセージ
患者さんのお役に立てるよう心がけてまいります。

呼吸器内科 医師 茆原 雄一Yuichi Chihara

  • ・出身大学
    北里大学
  • ・専門分野
    呼吸管理・呼吸器一般
  • ・認定・専門医等
    日本内科学会 総合内科専門医
    日本内科学会 認定内科医
    日本呼吸器学会 呼吸器指導医
    日本呼吸器学会 呼吸器専門医
    日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医
    日本結核・非結核性抗酸菌症学会 結核・非結核性抗酸菌症認定医

・メッセージ
平成27年10月より当院で勤務しております。
呼吸不全・睡眠時無呼吸症候群を主に、他の呼吸器疾患(肺癌・びまん性肺疾患・肺炎など)の患者さんに、個々の患者さんに合った医療を推進出来ればと考えております。

呼吸器内科 シニア医師(名誉院長) 坪井 知正Tomomasa Tsuboi

  • ・出身大学
    京都大学
  • ・専門分野
    呼吸器内科(呼吸管理、睡眠時無呼吸症候群)
  • ・認定・専門医等
    日本内科学会 認定内科医
    日本呼吸器学会 呼吸器専門医

・メッセージ
(抱負)
高い専門性を持った親切な医療を実践したい。
(プロフィール)
京都大学理学部で固体表面物性の研究をしてから医者になりました。
大まかな性格で研究者に向かなかったので臨床医になりました。
臨床医としては、自分なりに努力しているつもりです。

非常勤職員 酒井 茂樹Shigeki Sakai

  • ・出身大学
    滋賀医科大学
  • ・専門分野
    呼吸器内科
  • ・認定・専門医等
    日本内科学会 総合内科専門医
    日本内科学会 認定内科医
    日本呼吸器学会 呼吸器専門医

非常勤職員 原田 有香Yuka Harada

  • ・出身大学
    京都大学
  • ・専門分野
    呼吸器内科(呼吸器疾患全般)
  • ・認定・専門医等
    日本内科学会 総合内科専門医
    日本呼吸器学会 呼吸器専門医
    日本がん治療認定医機構 がん治療認定医

・メッセージ
親しみやすい診療を心がけていきます、よろしくお願いします。

外来担当医表

内科・呼吸器科

    月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
午前 一診 呼吸不全 睡眠時無呼吸候症群 坪井 知正ツボイ トモマサ 呼吸不全 睡眠時無呼吸症候群 角 謙介スミ ケンスケ COPD
(慢性閉塞性肺疾患)
酒井 茂樹サカイ シゲキ
田畑 寿子 タバタ ヒサコ
10:00~
COPD
(慢性閉塞性肺疾患)
呼吸不全 坪井 知正ツボイ トモマサ
二診 佐藤 敦夫サトウ アツオ 慢性咳嗽喘息 水口 正義ミナクチ マサヨシ 呼吸不全 睡眠時無呼吸症候群 坪井 知正ツボイ トモマサ 慢性呼吸器感染症 佐藤 敦夫サトウ アツオ 肺癌(内科) 水口 正義ミナクチ マサヨシ
三診 間質性肺炎 小栗 晋オグリ ススム   茆原 雄一チハラ ユウイチ   角 謙介 スミ ケンスケ 小栗 晋オグリ ススム
四診   田畑 寿子タバタ ヒサコ     橘 洋正タチバナ ヒロマサ
五診(初診外来) 交代制 原田 有香ハラダ ユカ 9:30~ 橘 洋正タチバナ ヒロマサ (第1、3、5週) 小栗 晋オグリ ススム
(第2、4週) 水口 正義ミナクチ マサヨシ
茆原 雄一チハラ ユウイチ
午後 (要予約) 一診 禁煙外来 田畑 寿子タバタ ヒサコ アスベスト 腫瘍外来
(再診のみ)
  睡眠時無呼吸症候群 角 謙介スミ ケンスケ

専門外来

急性呼吸器感染症

直接入院される市中肺炎や他院で難渋された重症肺炎の治療にあたっています。急性呼吸不全時には、高濃度・高流量酸素投与法であるネーザルハイフローやマスクを用いた人工呼吸(NPPV)などの最新の呼吸管理を行うことができます。

慢性呼吸器感染症

肺MAC症は、患者さんごとに臨床経過が著しく異なるため、個別に治療方針を立て慎重に治療しています。切除可能な症例では積極的に呼吸器外科と連携して手術を行っています。肺結核については、京都府南部の拠点病院として結核病棟があり、入院治療を必要とする患者さんについては京都府下の医療施設からの紹介を積極的に受け入れています。また地域の保健所と連携し、地区の結核審査会にも参加し、行政と連携しながら結核治療を行っております。多剤耐性結核に対しても、院内感染対策として専用の病室を備え、呼吸器外科と連携して集学的治療を行っています。

COPDや肺結核後遺症などの慢性呼吸不全

慢性呼吸不全に対する酸素療法やNPPVおよび呼吸リハビリテーション等の呼吸管理をしています(現在、在宅酸素症例:150名、在宅人工呼吸症例:60名)。こうした患者さんに対する急性増悪時の呼吸管理を得意としています。
また、ALS等の神経筋疾患の呼吸管理も行っています。南京都病院には60床の慢性期病棟があり、慢性呼吸不全患者さんを対象とした4~8週コースの長期の入院呼吸リハビリテーションも可能です。医師・看護師・理学療法士・作業療法士・管理栄養士・薬剤師・地域医療連携室職員や地域の訪問看護ステーション職員によるカンファランスを通して退院後の生活指導を行っています。在宅酸素療法や在宅人工呼吸療法を行っておられる患者さんに対しては、看護師が外来でも生活指導を継続しています。

肺癌

肺癌はスパイラルCTやシンチグラフィなどの各種画像診断、気管支鏡下生検、CTガイド下生検、などの内科的診断法に加え、呼吸器外科との連携により、縦隔鏡下生、胸腔鏡下生検を行い、肺癌の早期診断に努めています。診断後は可能な症例は外科的切除とし待機期間をできるだけ短縮すべく努めています。化学療法の対象者には。患者さんの生活の質を維持するため外来化学療法を積極的に行っています(状態に応じて入院化学療法も行っています)。また、緩和医療チームを結成し準終末期~終末期医療にも取り組んでいます。

間質性肺炎

間質性肺炎は放射線科医、病理医、呼吸器内科医、膠原病内科医のカンファレンスによる診断、治療方針の決定(MDD)が重要です。MDD認定医がそろった専門施設での診療が望ましいと思われますが、間質性肺炎は非常に患者数が多く間質性肺炎専門施設だけではあふれてしまいます。当院は間質性肺炎専門施設ではございませんが、当院でも可能なベストの診療を心がけております。ゆっくりと病気と向かい合いたいという方にはお勧めできます。

難治性を含む気管支喘息

気管支喘息を専門とする医師がいます。最先端の知識を生かして難治性の咳喘息や内服ステロイド依存状態の重症喘息を治療することができます。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

無呼吸は10秒以上の息が止まる状態、低呼吸は息の大きさがおよそ半分以下になると状態を指します。1時間あたりの無呼吸と低呼吸の合計である無呼吸低呼吸指数(AHI)が5回を超える場合に睡眠呼吸障害(SDB)ありと判定されます。SASは、このSDBに昼間の眠気などの種々の自覚症状を伴う疾患の総称です。成人男性の4%、女性の2%にみとめられる比較的有病率の高い症候群です。
実際の診療現場では、上気道の閉塞で生じる閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)がSAS症例の大半を占めています。

OSASの病態

閉塞型無呼吸は、睡眠中にのどの筋肉がゆるんで舌がおちこみ気道(空気の通り道)が塞がれることにより生じます。そのため激しい鼾を特徴とします。肥満が最も大きな原因ですが、日本人の場合は約3割の患者が太っていません。東洋人(モンゴロイド)は、顔の形がのっぺりと前後に短く、下あごも小さく、その結果、口の中の容積が小さくなるため、わずかな小太りでSASになってしまいます。
OSASの特徴には、
(1)睡眠中の繰り返すのどの閉塞
(2)無呼吸中のむだな大きな呼吸努力(とても疲れるはずです)
(3)無呼吸中の酸素の低下(全身が酸素不足になります)
(4)無呼吸後に呼吸が再開する時の覚醒反応(自覚はないのですが脳は数秒間めざめています)
(5)覚醒反応に伴う血圧の上昇(昼間の血圧が150/90くらいの方なら一時的に250/150くらいに上昇)
などがあります。
OSASの最重症例では、就寝時から起床時までほとんど間断なく無呼吸を生じ、60秒以上続く無呼吸といびきを伴う3~4回の大きな呼吸をくりかえします。無呼吸中、胸部と腹部の動きは逆になっており、酸素飽和度は50%前後まで低下することもあり、深い睡眠がほとんどなくなっています。こうした睡眠を放置すれば、最終的に、血管が傷つき、動脈硬化が進行し、高血圧、狭心症、心筋梗塞、脳血管障害を生じやすくなります。また、インスリンが効きにくい体になり糖尿病になりやすくなります。

診断・治療のすすめ方

臨床症状

鼾(無呼吸と数回の鼾の繰り返し)、日中の眠気、熟眠感の欠如、起床時の頭痛、窒息感を伴う夜間覚醒、夜間頻尿、インポテンス、性格の変化、うつ状態、むくみ(心不全を合併した場合)などの症状があり、肥満の中年男性であればOSASの可能性が高くなります。

検査の順序

図1:外来でOSASのスクリーニングに用いるパルスオキシメーター

外来の初診時に上記のOSASを疑わせる症状があれば、酸素飽和度を連続的に記録できるパルスオキシメータを貸し出して夜間モニター検査を2~3日行います(図1)。
酸素飽和度が3%~4%低下する回数を計算し、一時間に5~20回以上あれば入院してポリソムノグラフィーという睡眠状態(脳波・眼電図などの測定)や呼吸状態(気流・胸腹部の動き等の測定)を調べる検査を行います(図2)。重症のOSAS症例と健常者のポリソムノグラフィー検査結果の比較を図3に紹介します。

ポリソムノグラフィー(PSG)

PSGはSASの確定診断に必要です。脳波、筋電図、眼球の動き等を測定することで、睡眠の深さ(睡眠段階)、睡眠の分断化や覚醒反応の有無、睡眠の構造、睡眠効率などが算出できます。

図2:ポリソムノグラフィー(PSG)

OSASの最重症例

OSASの最重症例では、1時間に54回無呼吸があり、就寝から起床までほとんど間断なく無呼吸を繰り返しています。健常者では、 1時間の無呼吸は2回にとどまり、ほぼ正常の呼吸が終夜保たれています。

図3:OSASの最重症例

重症度判定

重症度は一般にAHIにより分類されます。5≦AHI<15を軽症、15≦AHI<30を中等症、AHI≧30を重症とします。

治療

図4:CPAP装置

現在のところ有効性と安全性で最もすぐれた方法はCPAP(経鼻的持続陽圧呼吸法)です。鼻マスクなどを装着し上気道に空気を送りこんで圧力でのどを広げる治療法です(図4、5)。CPAPがうまくいくと睡眠中の血圧も安定します。軽症例では歯科的治療として特殊なマウスピースを用いることもあります。また、肥満がなく明らかな扁桃肥大などでのどが狭くなっている場合には、手術をする場合もあります。その他、肥満例では減量、アルコール・睡眠薬の制限などの生活習慣の改善指導も同時に行いますが、実際には、ほとんどの患者さんが生活習慣を変更できないのが実情です。

図5:健常者、OSAS患者さん、CPAP装着したOSAS患者さん。

a:健常者で吸気時に上気道が開存している様子。
b:OSAS患者さんで吸気時に上気道が閉塞する様子。
c:CPAPにより上気道が開く様子。