末梢性ニューロパチー、神経生検について

末梢性ニューロパチー、神経生検について

概要

末梢神経障害とは、手足の中を走っている末梢神経そのものの病気をいい、神経内科疾患の10%程度を占めるといわれます。原因は多彩で、神経自体に原因のある慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)やギラン・バレー症候群、遺伝性ニューロパチー、全身疾患の一部症状としておこるものとして糖尿病性神経障害、膠原病や血管炎によるニューロパチーなどが代表的です。

症状

症状は、 症状には、筋力の低下や筋萎縮、感覚の鈍さ、しびれ、痛みがあり、障害される神経の分布に応じて起こります。1本の神経だけに限局する例として、正中神経がおかされる手根管 症候群では、手のひらのしびれや痛みが特に夜間に強く起こります。また、多数の神経が左右対称にしかも手や足の先ほど症状の強い多発神経障害では、同部位の筋脱力やしびれを生じます。初期には足だけに症状が出現することも多くみられます。

診断

特徴的な症状の分布に加えて、筋電図神経伝導検査、血液検査などを組み合わせて行います。よく似た症状を呈する疾患と鑑別するために、脳MRIや脊椎MRIしばしば行います。診断の困難な末梢神経疾患では髄液検査や神経生検を行うこともあります。

治療

末梢神経障害では治療可能な疾患がかなりあります。 CIDPや多巣性運動ニューロパチーでは大量免疫グロブリン療法を行います。またCIDP では、経口ステロイドや免疫抑制剤を用いる場合もあります。
膠原病や血管炎症候群では、元の疾患の治療が第一ですが、ステロイドや免疫抑制剤、また大量免疫グロブリン療法が有効な疾患があります。
糖尿病では、それ自体の治療が第一ですが、痛みやしびれを緩和するため、抗うつ薬や神経性疼痛緩和薬などを用います。これらの治療薬 はその他の末梢神経障害のしびれにもしばしば有効です。

当院での取り組み

当科は、通常の脳神経内科外来だけでなく、「手足のしびれ外来」(初診)でも末梢神経障害の患者さんの診療に取り組んでいます。「手足のしびれ外来」の受診には、かかりつけ医からの紹介が原則として必要です。

神経生検について(医療従事者向け)

末梢神経生検では、外果より近位側に小切開を加えて腓腹神経を一部摘出し、病理学的に評価します。当科では、多数の病院からのご依頼で神経生検の検体を受け入れ、病理学的解析を行っております。もちろん、患者さんを本院にご紹介いただき、入院で神経生検を行うことも可能です。
神経生検のご依頼は、お電話またはメールにてお願いしますが、依頼後でも構いませんので患者さんの病歴や検査所見をまとめたサマリーをお願いします。
0774-52-0065(代表)

takeuchi.hiroki.uf@mail.hosp.go.jp
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    患者さん個人からのお問い合わせにはご対応しておりませんので、ご了承ください。

参考著作: