頭痛
概要
頭痛は日常生活においてよくある症状の一つであり、頭痛の性状は原因となる疾患によって様々です。
片頭痛や緊張型頭痛などの慢性的な頭痛は有病率が高く、日本においては4人に1人が慢性頭痛を有しているという報告もあります。長年の頭痛ですと、つい市販の痛み止めを内服して様子を見てしまうこともありますが、鎮痛剤の不適切な使用が頭痛の原因となることもあります。
また日常生活に支障を来すようなつらい頭痛をお持ちの方でも、長年病院を受診されず我慢している方も多いと言われています。
症状や診断
頭痛の性状によって頭痛を分類していきます。
具体的には、いつ頃から発症したのか、増悪傾向はあるか、発作的なものか、持続しているか、頭痛の他に何か症状を伴っているかなどを考慮します。
必要に応じて、CTやMRI、髄液検査などの検査を行うこともあります。
まずは、一次性頭痛(片頭痛や緊張型頭痛などの頭痛性疾患)と、二次性頭痛(他の疾患が原因となって生じた頭痛)の可能性を検討していきます。二次性頭痛には、脳卒中や脳腫瘍、髄膜炎などの危険な疾患が原因となっている場合がありますので、そのような疾患が疑われる場合は速やかな診断・対応が必要となります。それに対して、一次性頭痛は、いわゆる“いつもの頭痛”として以前から慢性的な頭痛として経験されている患者さんが多いです。
代表的な一次性頭痛としては、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛の3つが挙げられます。これらは、頭痛の特徴や随伴症状などの症状に基づいて診断していきます。片頭痛と緊張型頭痛は有病率が高く、日本での有病率はそれぞれ8.3%、22.4%です。両方の頭痛が併存している患者さんもおられます。
代表的な慢性頭痛の特徴と治療について
片頭痛
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特徴:
20-40歳代の女性に多く、主に片側性(両側性のこともあります)、拍動性、日常的な動作に支障を来す中等度~重度の頭痛発作を生じます。頭痛発作中に悪心や嘔吐、光や音がつらい(光過敏、音過敏)などの症状を伴う傾向があります。頭痛によって寝込んだり、家事や仕事に支障を来したりします。
一部の片頭痛患者さんでは、頭痛の前~頭痛に伴って、一過性に視野にジグザグとした模様が見える、手足の感覚異常、しゃべりにくさなどの前兆を伴うことがあります。 -
治療:
頭痛発作が生じたときには、急性期治療として、頭痛を速く改善させるための治療を行います。具体的には、アセトアミノフェンやNSAIDsなどの一般的な鎮痛剤の他、片頭痛用の鎮痛剤であるトリプタン製剤も使用されます。2022年には新たにラスミジタンというお薬も使用可能となりました。
頭痛発作の頻度が高い場合や、頭痛による生活への支障が強い場合には、予防療法として頭痛の頻度や強さを改善させる治療を併用します。これにはロメリジンやプロプラノロールといった薬剤や、抗てんかん薬、抗うつ薬などが使用されます。これらの予防薬で効果が見られない場合であっても、CGRP関連製剤という新しい作用の注射薬が有用で、2021年より使用可能となっています。
緊張型頭
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特徴:
一次性頭痛で最も多く、片頭痛とは異なり若年者のみならず高齢者でも高い有病率を認めます。両側性、非拍動性で、圧迫されるような、或いは、締め付けられるような軽度~中等度の頭痛を生じます。片頭痛と異なり、日常生活動作での悪化は来しにくいとされています。
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治療:
急性期治療としては、アセトアミノフェンやNSAIDsなどの鎮痛薬や、筋弛緩薬の併用を行います。頭痛による支障が強い場合には、予防療法として、抗うつ薬の使用や、頭痛体操といった非薬物療法も推奨されています。
群発頭痛
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特徴:
数週間~数か月間の群発期といわれる期間に、重度の頭痛が連日出現するという特徴があります。頭痛は重度~極めて重度の痛みで、左右どちらか一側の眼窩部、側頭部のいずれかに生じ、頭痛と同じ側の結膜充血や流涙、鼻閉・鼻漏、眼瞼浮腫、発汗、縮瞳・眼瞼下垂などの自律神経症状を生じます。強い痛みのために、患者さんは落ち着きなく動き回る傾向があるとされています。
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治療:
群発期には飲酒によって頭痛発作が生じる場合がありますので、飲酒は避けるようにします。頭痛発作の時には、スマトリプタンという薬剤の皮下注射・鼻腔内投与、酸素吸入などで対応します。必要に応じて予防療法として、ベラパミルやステロイドなどの薬剤が使用されることがあります。最近では片頭痛の予防薬であるCGRP関連製剤が群発頭痛に有用という報告もあります(日本では未承認)。
薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)
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特徴:
片頭痛や緊張型頭痛などの一次性頭痛を持つ患者さんが、頭痛治療薬を頻回に使用することにより新たに生じる頭痛です。基礎疾患で最も多いのは片頭痛、ついで緊張型頭痛が多いとされています。頭痛に対する鎮痛薬の効果が不十分で、頭痛に対する不安などから、さらに薬剤を内服することで頭痛が悪化するという悪循環が生じています。
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治療:
患者さんに薬剤の使用過多による頭痛についてご説明し、原因薬剤を中止します。通常は原因薬剤の中止にて頭痛は軽快するとされています。しかし薬剤中止後に頭痛が悪化したと感じることもあるため、適切な鎮痛薬の使用方法を指導し、必要に応じて予防療法を併用します。
当院での取り組み
当院では専門外来として「頭痛外来」を開設しており、頭痛で困っている患者様の診察を行っています。問診、診察や、必要に応じて頭部CT、頭部MRI検査どの検査を行い、診断に基づいて、治療方針について患者様と相談させて頂きます。
専門外来以外の一般外来でも対応可能ですので、頭痛で困っている方は “いつもの頭痛” と我慢せず、是非一度受診をご検討下さい。