アルツハイマー病四方山話-5このページを印刷する - アルツハイマー病四方山話-5

(この記事は「重松神経内科医長」に院内報のために14回にわけて掲載させていただきましたものに若干の加筆訂正してまとめたものです)

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第11話 第12話 第13話 第14話  

第5話

前回までのあらすじ:アルツハイマー病の原因として4つの考え方を紹介しました:遺伝子、アルミニウム、炎症、外傷の4つ:さて真犯人は?]

すっかりご無沙汰ですみません。もう忙しくって、なんていうのは言い訳ですけど、また頑張って書きますから、しばらくおつきあいください。これからしばらく私達の推理をお話ししようかと思います。

今日は最初に脳の仕組みのおさらい。脳は脳ミソっていいますけれど、もちろん八丁味噌や蟹ミソなんかとは違って、(大抵は)れっきとした細胞つまり脳細胞から出来ています。でも脳細胞は脳全体に散らばっているのではなくて、脳の表面に整然と並んでいます。表面ですから脳の皮、つまり脳皮質と呼ばれています。脳の中の方にも脳細胞が沢山集まっているところがあってそこは核といいます。脳のそれ以外のところはこれからお話しする軸索と呼ばれる線維などが集まって出来ています。線維の部分は脂肪分が多くて白っぽいので白質と呼ばれています。サーロインステーキの油の部分も白いでしょう。最近脳のMRIという検査ではこういった脳皮質や白質の状態までわかるようになってきました(残念ながらCT検査ではあまりよく解りません)。さあここで大事な復習、アルツハイマー病の特徴であるアミロイド斑はこの脳細胞の外に、もう一つの特徴の原線維変化は脳細胞の中に出来るのでしたね。アルツハイマー病を解明するためにはこの二つを解明しなければなりません。ちなみに細胞と言うと、顕微鏡でやっと見える小さなアメーバーの様な物を想像しやすいのですが、大きいのもあります。例えば鶏の卵。これは一つの細胞ですし、黄身は細胞の核つまり、あのDNAが入っている所ですよね。長い細胞もあります。その代表が、神経細胞で、例えば坐骨神経の細胞はメートル級です。脳細胞も長い細胞の一つです。オタマジャクシの頭のようにプクンと膨らんだ細胞体があって、そこからオタマの尻尾を長ーく電線のように伸ばしたような尻尾をもっています。その尻尾の先が別の神経細胞と連絡しているのです。この連絡場所は、実はほんの少しの隙間があってこの隙間のことをシナプスと呼んでいます。一方、その長い尻尾を[軸索]と呼びます。この軸索には、電線と同じように電気的な信号が流れて情報が伝わっていきます。電気が漏れたりしないように、鞘もついていて、これを髄鞘と言います。ちなみにこの髄鞘が壊される病気を脱髄疾患といって、例えばあの多発性硬化症はこの脱髄疾患の代表です。この軸索と電線との違いは、軸索が、銅線のように固まったものではなくて、むしろ川のように中身自体も常に流れている点です。この<流れ>を軸索流と呼びます。私たちが考えているアルツハイマー病の原因は、この流れが悪くなること、つまり<軸索流の障害>こそが真犯人じゃないかというものなのです。

この次はその理由をお話ししましょう。さあ、今日は久しぶりにテニスをしようっと。皆さんも如何ですか、呆け予防になること請け合い?ですヨ。

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